今回のバス旅は、東急電鉄の田園調布駅からスタート。
2018年3月31日をもって廃止となる、東急バスの園02系統上町線に乗車してきました。
まず、路線図をもとに、園02系統の概要を説明します。
東急東横線・目黒線が発着する田園調布駅(画像右下)から、世田谷区の中央左側をぐるりとまわり、東急田園都市線の用賀駅(画像左)を経由して、世田谷区役所のある世田谷区民会館(画像上)までを結ぶ45~60分の路線です。
この園02系統は、2018年3月31日を最後に系統廃止となり、路線の再編が行われます。ざっくり書くと、中間の用賀駅で系統が切られ、南側の用賀駅~田園調布駅間が廃止。北側の用賀駅~世田谷区民会館間は、用賀駅~渋谷駅間の新系統、渋22系統に引き継がれる形です。
乗車の前に、田園調布駅に到着する園02系統をロータリーで迎える事にしました。
この日は、運行開始して1か月も経過していないピカピカの新車がやってきました。
バスが田園調布駅のバスターミナルに到着しました。
園02系統は、駅の改札に一番近い3番のりばから発着します。一般的に、改札から一番近いのりばは、その駅でメインのバス路線が発着する傾向が見られますが、もはや園02系統はメインの路線ではありませんでした。
2018年3月現在の田園調布駅時刻表。
以前を知っているだけに、「減ったな・・・」と感じます。
1年前までは日中で2~3本/Hあったので、20分程度待てばバスが来る感覚でしたが、2017年5月の大幅減回改正から、日中は40~45分間隔になりました。土休日に至ってはバスが来ない時間帯もあります。
路線再編の告知。
東急バス 園02系統上町線
田園調布駅 16時10分発
では、バスに乗車しましょう。
運賃220円を支払い、バスの車内に入ると、新車の匂いが漂ってきました。車内では5人の乗客が発車を待っています。
そして、そろそろ発車というタイミングで1人の女子学生が駆け込んできました。
間に合って良かった(^^)。次は40分後ですから。
バスは田園調布駅を発車すると3車線の環状8号線へと左折をします。運転手さんは車がきれるタイミングを見てバスを発進させました。環状8号線を走行するのは100m程度。すぐに右折レーンに入り、信号待ちの後に自由通りへと進みます。
奥沢六丁目で左折すると、今度は東急大井町線の踏切を渡ります。車内放送では、車が左右に揺れるので注意するよう注意喚起がありました。この区間は他の系統のバスも通らないので、本当に路線廃止となる区間です。
(※その後、日曜日のみ田園調布駅~中町五丁目間が1往復だけ設定されたのが確認出来ました。いわゆる免許維持的な運行です。)
東急大井町線の九品仏駅前を通過します。
田園調布駅を発車してから右左折が多く、あまり進まない印象です。幹線道路の目黒通りに入り、等々力七丁目に到着。しかし、目黒通りも走行するのは100m程度。すぐに右折して用賀駅方面に進みます。
ここまで空席だらけだった園02系統ですが、商店街のある中町の辺りから乗車が続き、多くの座席が埋まる状態になりました。もっとも、ここは園02系統単独の停留所ではなく、他の系統のバスも多く走っています。この辺りは、田園都市線の用賀駅へ向かう流動が出来ているようです。
中町通りの難所、国道246号線を時間をかけて通過しました。信号のサイクルを2~3巡したと思います。
そして東急田園都市線の用賀駅に到着。ここまでの所要時間は時刻表上で34分。鉄道なら2回乗り換えて約20分といったところです。
用賀駅では、大量の降車と、大量の乗車があり、旅客が入れ替わりました。
ここまでは系統廃止区間ですが、この先は渋谷駅行きとして路線再編となる区間です。
車内を見渡すと、田園調布駅から乗車し続けているのは、私の外には、発車間際に駆け込んできた女子学生だけでした。
この先は各停留所で旅客の降車が続きます。どうやら、園02系統の旅客数のピークは、中間の用賀駅のようです。
桜が丘三丁目を右折し、幹線道路の世田谷通りに入りました。1車線道路ですが、道幅は広くて走りやすそうです。
ここはバス街道。各停留所ではバスを待つ人の姿が見えました。
でも、このバスが近づくと「なんだ、区民会館行きか・・・」と残念そうな表情に変わります。
(4月からは渋谷駅行きになりますよ(^^))
気が付けば、車内の旅客は私だけ。
世田谷区役所入口を過ぎて左折。再び系統廃止区間に入ります。東急世田谷線の踏切を渡りました。
そして終点の世田谷区民会館に到着。田園調布駅から約1時間のバス旅でした。
全線乗車をして感じた事は、系統廃止となる南側の用賀駅~田園調布駅間は、交差点の右左折や幹線道路を渡る箇所が多く、北側の用賀駅~世田谷区民会館間と比べて、バスが進まない印象を持ちました。南側と北側とでは、表定速度に差が出るのではないでしょうか。ざっと大まかに計算してみると、南側は10km/h台、北側は14km/h台と計算できます。全長が約10kmの路線で、この差は大きい。生活交通は自転車との競合があります。微妙にエリアの被る東急大井町線という存在もあります。園02系統にとって、表定速度の低さは競争力の低下に繋がっていたのではないでしょうか。
園02系統は歴史ある路線なので、田園都市線が開通する以前、それところか速度の低い路面電車(玉電)が走っていた時代の流動で作られた系統図を、今に残している面があるのかもしれません。路面電車が相手ならば、表定速度の低さもカバー出来ます。
あと、乗降のピークが系統の中間である用賀駅というのも気になりました。輸送効率を考えると、系統の両側にピークがあるのが一番ベストで、そういう意味では路線再編により、新系統が渋谷駅~用賀駅間になるのも理解できます。
今回は、バスの系統が廃止になるという前提で乗車したので、このような感想になりましたが、日頃からバスが走って当たり前のように乗車をしていると、その系統の弱点を考える機会はそう無いと思います。本来はバス事業者が考えるべき内容ですが、これから全国的に人口が減少し、生活交通を地域みんなで考えようという時代が訪れると思うと、少しでもよりよい交通を作れるよう、日頃から弱点を探す視点があってもいいのかもしれません。
そんな事を考えた、系統廃止直前のバス旅でした。
<撮影2018年2月>