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・燃料電池バスの「水素ステーション」を調査してきました

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近年、燃料電池バス(FCバス)の台数が増え、街中で見かける機会が増えました。燃料電池バスが燃料とするものは、ご存じの通り「水素」です。

今回は、燃料電池バスが水素を充填する東京都心の「水素ステーション」を調査したので紹介したいと思います。

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まずは、江東区有明に位置する「イワタニ水素ステーション東京有明」です。

有明における「水素ステーション」の歴史は古く、2003年に実証ステーションとして運用を開始。都営バスにおける燃料電池バスの実証走行をサポートするメインステーションとして位置づけられました。2017年に商用化され、引き続き「FCV」や「FCバス」の充填に対応しています。

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充填するディズペンサーはTATSUNO製。

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水素ステーションには「オンサイト方式」と「オフサイト方式」の二つの方式があります。

それは、水素をステーションで製造する「オンサイト方式」か、ガソリンスタンドのように外部から水素を運び入れる「オフサイト方式」かの違いですが、「イワタニ水素ステーション東京有明」は後者の「オフサイト方式」を採用しています。水素プラントで製造された液体水素をローリーで「水素ステーション」に運び入れてタンクに貯蔵、それを気化させ蓄圧して「FCV」や「FCバス」に充填します。水素を液体にして輸送、貯蔵するのは岩谷産業が得意とする方式です。

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有明では、京浜急行バスや都営深川の「FCバス」を見かけました。

営業日は月~水、金~日(定休日 木)です。(2020年6月現在)


↑「水素ステーション東京有明」

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続いて、江東区豊洲に位置する、東京ガス「豊洲水素ステーション」です。

2020年1月にオープン。

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ディスペンサーはTOKIKO製。

「レインボーブリッジ」をバックに、眺望の素晴らしい「水素ステーション」です。

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ここの特徴は「オンサイト方式」です。水素を外部から運び入れるのではなく、都市ガスから水素を製造し(上記画像では左側が水素製造装置)蓄圧して「FCV」や「FCバス」に充填します。公共性の高い「FCバス」への利用を考慮して、主要機器の2重化を行い稼働の安定性を確保しました。

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水素の価格が表示されていました。

1Kgで1600円。

ガソリンや軽油と違って馴染みがないせいか、この価格が高いのか安いのか、今一つピンときません。

ちなみに充填する水素は気体なので、ガソリンや軽油のように「リットル」ではなく「キログラム」が単位となります。

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営業開始の時刻になり、深川の「FCバス」が充填にやって来ました。

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近隣の公園から撮影。

資料によると、バスの充填時間は約10分だそうです。

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充填を終えたバスがステーションを後にします。

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「豊洲水素ステーション」の営業日は、無休で定休日はありません。(2020年6月現在)


↑「豊洲水素ステーション」

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次は、江戸川区臨海町に位置する「イワタニ水素ステーション東京葛西」です。

2020年2月にオープン。

東京都の目標「2020年までに燃料電池バス100台以上」を目指すうえで「水素ステーション」の整備を促進させるため、都有地の一部を活用して「水素ステーション」運営の公募を行いました。その結果、岩谷産業による運営に決まりました。

「燃料電池バスの運行に支障ないよう営業日は年中無休にすること」「燃料電池バスを1日あたり20台以上受け入れ出来る能力を有すること」「1時間あたり15キログラムの水素を4台の燃料電池バスに充填出来る能力を有すること」・・・等々、公募にはこのような条件が付されました。言わば「FCバス」への充填を主目的に整備された「水素ステーション」です。(もちろん、オープン後は通常の「水素ステーション」なので一般の「FCV」への充填も可能です)

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ディスペンサーはTATSUNO製。

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岩谷産業の十八番、液体水素による「オフサイト方式」です。大きな液体水素貯蔵タンクが特徴。上記画像にはタンク前に駐車スペースが見えますが、プラントで製造された液体水素をローリーからステーションに移し替えるスペースと思われます。

水素を液体にすると、気体と比べて体積が1/800になるので輸送や貯蔵の効率が向上します。ただし、沸点(-253℃)が低く、気化による損失を防ぐための断熱容器の性能が肝なのだそうです。

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営業開始と共に、江戸川の「FCバス」が充填にやって来ました。

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充填を開始。

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すると、続けざまに臨海の「FCバス」も充填にやって来ました。

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たまたまかもしれませんが、「FCバス」の2台同時充填はやっていないようで、臨海車は江戸川車の後方で待機する事になりました。(2機のディスペンサーのうち「FCV」用と「FCバス」用にわけて運用しているのかもしれません)

充填時間を計測してみましたが、1台あたり約10分というところ。臨海の「FCバス」は待機が約10分、充填が約10分で全体の所要時間は約20分かかりました。将来の「FCバス」台数増加の観点から考えると、スムーズな充填は課題になりそうです。本来であれば営業所で水素を充填出来ればベストですが、現時点ではステーションは簡単に作れるものではないようです。

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充填を終え「水素ステーション」を後にしました。


↑「水素ステーション東京葛西」

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最後に、江東区新砂に位置する、巴商会「新砂水素ステーション」です。

2017年7月にオープン。

圧縮した水素をトレーラーで輸送する「オフサイト方式」を採用しています。液体水素ではなく気体で輸送、貯蔵するので、岩谷産業のような液体水素貯蔵タンクはありません。2018年11月からは「FCバス」への対応も始まりました。

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江東運転免許試験場の裏通りに面した、比較的コンパクトな「水素ステーション」です。

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ディズペンサーはTOKIKO製。

2度ほど訪れてみましたが、私の訪問時に「FCバス」を見ることは出来ませんでした。「水素ステーション東京葛西」が稼働開始したので、充填台数を減らしたか、もしくは葛西での充填へ移行したのかもしれません。

営業日は、月~金、日(定休日は土、年末年始)です。(2020年6月現在)


↑「新砂水素ステーション」

~ まとめ ~

東京都心で「FCバス」に水素を充填する「水素ステーション」を4か所紹介しました。(まだ他にもあるかもしれません)

調査をしてみて、民間の「水素ステーション」を利用するために、営業日が決まっていたり、営業時間が日中主体であったりするため、燃料電池バスのダイヤや運用を「水素ステーション」の営業時間に合わせる必要があるようです(ステーションも営利事業であるために致し方ないところもあります)また、ステーションへの充填回送や充填時間(待機含め)等、これまでにない課題も感じられました。

しかしながら、これから燃料電池自動車(FCV)や燃料電池バス(FCバス)を社会に広く普及させていく道程で「水素ステーション」の整備は不可欠です。東京都がオリンピック・パラリンピックを契機に「燃料電池バス100台以上」という具体的な数値目標を打ち出してくれだお陰で、それに対応出来る「水素ステーション」の整備が促進されたり、ステーション運営のノウハウが蓄積されているという見方もする事も出来ます。

『燃料電池バスの導入が「水素ステーション」の普及を牽引する』

「水素ステーション」の普及に向けた道程は、こんな方程式になるのかもしれません。今は都内湾岸部が主体ですが、いずれは内陸部にも波及していくのでしょうか。

いずれ、私達が燃料電池自動車(FCV)を所有する時代が訪れたとしたら、そこに「水素ステーション」があるのは、バスのお陰かもしれません(^^)

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↑「イワタニ水素ステーション羽田空港」(まもなくオープン)

現在、私が把握している限りでは羽田空港、晴海、大井に「FCバス」対応の「水素ステーション」を建設中です。ステーションが増えれば燃料電池バスを見かける機会も更に増えるでしょう。燃料電池バスの発展が楽しみです。


↑「イワタニ水素ステーション羽田空港」

<撮影2020年6月>

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