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・50年以上、道路の開通を待ち続けた架道橋

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東京都の都市計画道路「補助第26号線」のうち、目黒区の一部区間で、歩道が開通(2022年6月30日)したと聞いて、見学に行ってきました。



今回、歩道が開通したのは、駒沢通りの「五本木交差点」から、目黒通り方向(南方向)へ数百メートルの区間です。
(上記図だと、左側の五本木交差点から東急東横線をくぐり、中央右側の細い道路まで)

「五本木交差点」(駒沢通り)~「目黒郵便局前交差点」(目黒通り)間は、平成19年(2007年)に事業認可され、工事が進められてきました。



ここで「補助第26号線」について、ざっくり説明すると、この道路は、戦災からの復興のため、終戦の翌年である昭和21年(1946年)に計画決定された都市計画道路の一つです。品川区東大井一丁目の八潮橋交差点を起点に、大井町駅や武蔵小山駅、三宿、東北沢駅、中野駅、千川駅、大山駅(それぞれ付近)を通過して、板橋区氷川町の仲宿交差点(板橋JCT付近)までを結びます。

約22kmの半環状線で「山手通り」と「環状七号線」の中間に位置することから「環状6.5号線」と呼ばれる事もあります。人によっては「三宿通り」や「中野通り」などの通称の方がわかりやすいかもしれません。現在も、全線を通じて未開通区間が点在しています。



最近では、2021年に品川区のトンネル区間が開通して「補助第26号線」は「八潮橋交差点」~「目黒通り」間が連続した道路になりました。

起点側から見て、次の未開通区間が「目黒通り」~「駒沢通り」間の760mで、それがこの区間です。



この区間には、1本の鉄道架道橋があります。

東急東横線の祐天寺駅~学芸大学駅間に架けられた架道橋で「祐天寺第6架道橋」と名付けられています。

東急東横線の高架化事業の歴史を紐解くと、昭和41年(1966年)に通行量の多かった、駒沢通り(補助第49号線)の踏切道を解消する目的で、祐天寺駅~都立大学駅間の高架化事業が着工。その際、既に都市計画がされていた「補助第26号線」の開通を見越して、この「祐天寺第6架道橋」が架けられました。

ちなみに、この付近の「補助第26号線」は、道路の拡幅ではなく、新設となる道路です。高架化以前の航空写真を見ると、この場所に踏切道はありませんでした。

すなわち、道路の存在しないところに架道橋だけが架けられた事になります。高架化事業が完成したのは、昭和45年(1970年)11月。それ以来、50年以上も道路の開通を待っていたのです。


↑祐天寺第6架道橋

架道橋のデザインは昭和の様相ですが、桁は耐震補強も行われ、整備が行われています。


↑「祐天寺第6架道橋」の名称表示

支間は26.55mと記載。

道路の計画幅員は20~23mです。



今から70年以上前に都市計画道路が計画決定し、50年以上前にそれを見越して架道橋が架けられ、15年前に道路の事業化が行われ、2022年に歩道のみが開通。そして、車道の開通はこれから。

都市計画というものは、えらく時間がかかるものだと実感をしました。

とは言え、優先順位や予算の問題もありますし、住んでいる方に立ち退いてもらう必要があるので、時間がかかる事には理解も出来ます。



今回は「補助第26号線」と、東急東横線の「祐天寺第6架道橋」の関係についてスポットを当ててみましたが、このように都市計画道路の開通を見越して、先に架道橋だけ架けられているケースは、都内の他の場所にもあるのかもしれません。



最後に、事業化されている「五本木交差点」~「目黒郵便局前交差点」間のうち、目黒通り側は、このように、手付かずな状態でした。

「補助第26号線」の「駒沢通り~目黒通り」間が開通するまでには、まだ年単位の時間がかかりそうです。
  

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