西鉄バス「桜島号」
西鉄天神高速バスターミナル 11時25分発
福岡県の西鉄天神高速バスターミナルから、おはようございます。
今回のバス旅は、博多から鹿児島まで、高速バス「桜島号」に乗車します。
リニューアルされて、華やかな雰囲気となった西鉄天神高速バスターミナルが、今回の旅のスタートです。
一番端にある6番のりばでバスを待ちました。今回の旅では、乗り放題チケット「SUNQパス」を利用します。今はデジタル化もされていますが、私はシンプルな紙タイプにしました。予約のいらない路線は、そのまま乗車出来ますが、座席指定制の路線に乗車する場合は事前に予約をするのが基本です。私はネットから予約をしました。窓口におもむき、予約番号を伝えると「確保券(座席券)」を発行してもらえます。すると、係員さんが渡してくれた「確保券」の券面には「6番のりば」というスタンプが押下してありました。わざわざ、ひと手間かけて、のりばの場所をチケットに記してくれるなんて、利用者の立場に寄り添ったサービスだと感じました。
さて、6番のりばでは、前便の宮崎行き「フェニックス号」が出発。続けて、方向幕を装備した西鉄バスのセレガが入線してきました。車号は8529と表記。実は、私の狙いは固定窓の火の鳥デザインのエアロエースでした。深い理由はなく、ただ単にカッコいいという単純明快な理由でしたが、8529号車とは、まさかの展開です。私は、8529号車を、横浜駅東口や池袋駅東口、新宿西口高速バスターミナルで見た事があります。そう、「ライオンズエクスプレス」や「はかた号」の4列シート便で上京した実績のある車両です。知人からは「桜島号」に入る事もあるとは聞いてはいましたが、まさか、当たるとは思いませんでした。
車内の様子です。
補助席のないワイドシートで4列×10列、片側トイレの38席仕様。ゆったりと過ごせます。各座席に充電用のコンセントを装備し、車内にはフリーWi-Fiが飛んでいます。最後尾に乗務員さん用の仮眠室があるのが、かつて夜行便で活躍した名残です。
さて、私を含め3人の乗客を乗せて、西鉄天神高速バスターミナルを出発しました。まずは、博多駅バスターミナルを目指します。
JR博多駅の横に位置する、博多駅バスターミナル。
スロープを上がり、3階にある高速バスの出発ホームへと向かいます。ここでは、5人の乗客が集まりました。11時45分に出発です。その後、バスは都市高速に上がり、大宰府インターから九州自動車道に入りました。これから鹿児島インターまで、この九州自動車道を終点まで南下します。その距離は約266km。福岡県から佐賀県、熊本県、宮崎県、鹿児島県と、5県を走り抜けます。
佐賀県に入り、高速基山に到着しました。
ここは、長崎自動車道や大分自動車道と分岐する、鳥栖JCTの直近に位置します。その立地を活用して、かつて「高速バス乗り継ぎ」の実証実験が行われた場所です。その後、高速基山バスストップでの乗り継ぎは定着。それどころか、待合所が大きくなったり、近隣にパーク&ライドの駐車場も整備されたりと、昨今の九州高速バスシーンにとって、重要なバスストップになるほどに成長しました。1便毎の乗車する乗客は少数でも、集まる路線が多いのでバスを待つ利用者の姿を見ることは多いです。この便でも1人の乗客が乗車して来ました。
続いて、久留米インターに到着しました。
一旦、料金所を出るタイプで、一般道に面した場所にバスストップがあります。ここでも1名が乗車してきました。少しづつ乗客が増えて行きます。その後、次の八女インターでの乗車はなく、この便の乗客は9人で確定しました。出発後は運転手さんから休憩場所の案内がありました。約30分後に北熊本サービスエリアで休憩とのことです。西鉄天神高速バスターミナルの「6番のりばのスタンプ」ではありませんが、「約30分後」と一言添えて伝えてくれたりと、気遣いのサービスが心に沁みます。
熊本県に入り、しばらくして北熊本サービスエリアに到着。約15分間の休憩です。
ここではバスの外観を撮影しました。方向幕には「桜島号 鹿児島」と表示しています。かつて運行していた「ライオンズエクスプレス」の幕は、まだ残っているのでしょうか?そういえば、私は「ライオンズエクスプレス」に乗車した経験はないものの、何故か「元 ライオンズエクスプレス」の車両には縁があります。西武観光バスのガーラ1643号車は「プリンスエクスプレス箱根芦ノ湖」で乗車しましたし、スペースアローAの1698号車は移籍先の福島交通で乗車しました。そして、今回の8529号車。これで本務車で残るは、西鉄バスの8545号車と8546号車になりますが、私が九州に行く機会は少ないので、これ以上は期待薄です。
九州自動車道を南下します。
八代を過ぎると、高速道路は山間部に入りました。トンネルを抜けると谷、トンネルを抜けると球磨川。勾配もきつくなり、エンジン音も頑張りを主張します。
険しい道路状況ですが、九州山地の雄大な景色を楽しむことができました。
その後、6000m級の肥後トンネル(九州最長)を抜け、人吉盆地に入ると高度を下げますが、街を過ぎると再び高度を上げます。並行する鉄道の肥薩線は、ルール線とスイッチバックの大畑駅があるところです。そして、県境である加久藤峠を加久藤トンネル(九州2位の長さ)で抜けて、宮崎県に入りました。まもなく、2回目の休憩場所である「えびのパーキングエリア」に到着です。
えびのパーキングエリアでは、約15分間の休憩です。
バスの上に見える高架の道路は、国道221号線です。この写真では全体が映らないのでわかりにくいのですが、ループ橋になっています。実は、えびの側だけではなく、人吉側にもループ橋があり、熊本県側、宮崎県側、そのどちらもループ橋で高度を稼ぐ道路です。本当に地形の険しいところにいるのだと実感しました。
休憩が終わると、バスは再び走行を始めます。
バスは、えびのJCTで宮崎自動車道と分岐すると、県境をこえて鹿児島県に入りました。
降車が始まります。鹿児島空港南で1人が降車。ここは鹿児島空港に近い高速道路上のバスストップで、徒歩10分ほどの距離だそうです。この便は、鹿児島空港にも寄るので、空港利用ならば、ここではなくそちらで降車するのが便利です。
高速道路を一旦降りて、鹿児島空港に到着しました。
足湯の横に停車。ここでも1人の降車がありました。それにしても、福岡から鹿児島空港とは、どのような需要なのでしょう。飛行機ならば、福岡空港があるのにと考えてしまいます。福岡から、直接航路のない離島を目的としたものなのか、鹿児島空港に集まる各バス路線を目的とした乗り継ぎ需要なのか、それとも、単純に霧島市の高速バスターミナルとして機能しているのか、興味深いところです。
バスは九州自動車道に戻ります。
いくつかのバスストップに停車しますが、降車はありませんでした。鹿児島インターを降りて鹿児島東西道路に入ると、まもなく鹿児島中央駅前です。駅前に停車すると、車内のほとんどの乗客は降車しました。残った乗客を乗せて、バスは、繁華街の天文館、鹿児島本港(高速船ターミナル)に向かいます。
ほぼ定刻の16時20分過ぎ、終点の鹿児島本港(高速船ターミナル)に到着しました。
種子・屋久島高速船ターミナルの前が降車場です。天神を出発してから、鹿児島まで約5時間。九州を縦貫してきました。新幹線が開通した現在において、所要時間は鉄道には敵いませんが、比較して低廉な価格、利用者の立場に沿った接客、天神高速バスターミナルへの投資、基山での乗り継ぎと、西鉄バスをはじめとする高速バス大国の、真髄の一片を味わえた旅となりました。
<撮影2024年6月>