東京ビックサイトで開催されている「東京モーターショー2013」に遊びに行ってきました。
会場内では当然バスだけではなく、トラックや乗用車などの新機能や未来の技術などがプレゼンされていました。個人的に気になったのはそう遠くない未来に訪れるであろう自動車の「自動運転」です。
自動運転と書くと、どのようなものをイメージされますか? カーナビの目的地をセットすると、後は自動で目的地まで運転してくれる・・・・そんな感じではないでしょうか。私のイメージはまさにそれでした。しかし、その域にたどり着くには、まだまだ登らなければならない階段が続いているようです。
現在、車の運転操作はドライバーが担っています。ここから進化すると、車が運転操作の支援を行うようになります。既に実用化されていますが、前を走行する車に追従するアダプティブクルーズコントロール、前車や障害物に接近すると警告してくれたり、自動でブレーキをかけてくれるプリクラッシュセーフティシステム等があります。
もっと進化すると、どうなるでしょうか。例えば、高速道路を走行中にボタンを押すと、運転操作はドライバーから車に変わります。追い越しによる車線変更も自動で車が判断。ハンドルに力を加えれば手動運転に回復する事が出来ます。
…なんだか未来っぽくなってきました(*^_^*)ここまでで重要なのは、自動で車が走行しても「責任はドライバーにある」という点です。
では、もっともっと進化するとどうなるでしょうか。例えば、道路渋滞時に自動運転に切り替えれば、車が前後左右の動きを把握。加速や減速、停止、ハンドル操作等を自動で行います。ドライバーは渋滞を抜けるまで運転席で本を読んでいたり、タブレットでネットをする事だって出来ます。やがて渋滞が解消すると車はドライバーに運転操作に戻るよう指示を出します。その間の運転の責任は車。シーンが限定されていますが高度な自動化です。しかし、それでもドライバーは車内にいる必要があります。
そして最後に私たちが想像しているような完全自動化。もうドライバーは必要ないかもしれません。運転操作は全て車が行います。行きたい場所を設定するだけで、後は車内でやりたい事をやるだけです。運転の責任は完全に車になります。
…今回、会場内のいくつかのブースで自動運転の実用化について質問してみました。返ってきた答えの多くは「法律や責任の範囲が決まっていない」でした。現在のルールでは、必ず運転席にドライバーがいてハンドルを握っている必要があり、そして自動運転中に何かあった場合、どこまでメーカーが責任を負うのか定まっていないからです。技術は日々進歩しています。そのうち法律や責任の範囲を明確に定める時代が訪れるのかもしれません。
これらの自動運転。どうやら最初に運用されるのは高速道路になりそうな気配です。そこで自動運転を高速バスに生かせないでしょうか。まず、自動運転の最大のメリットは安全性の向上です。交通事故の約9割は判断の誤りや遅れなど人為的なものなのだそうです。車が判断を担う事で人為的なミスは無くなりバスは遥かに安全な乗り物になります。そして人間では対応できないような運転も自動なら出来るようになります。前車に極端に近づいて追従走行するなど、交通の流れがスムーズになり渋滞も減少するかもしれません。中央道の小仏トンネルのように登り坂とトンネル効果で気がつかぬうちに速度低下し、結果的に渋滞が起こってしまうような場所では有効だと思います。そして、高速道路走行中にドライバーが運転から解放されるのならば、その間を乗客へのサービスに充てられるかもしれません。車内に設けられたオーブンで予め準備された料理を温め、乗客にふるまうなど飛行機の機内食のようなサービスも出来そうですね。他にも自動運転の時間をドライバーの休憩に充てれば、所要時間はそのままでツーマン運行だった路線をワンマン運行に出来るかもしれません。
ただ、危惧しているのは、車の完全自動化が実用化された場合、過疎地を支えている地域のバスが廃止されてしまうのではないかという点です。過疎地のバスの乗客の多くは免許を持てない学生や、運転を卒業したご高齢の方々が主です。もしもドライバーがいなくても公道を走行出来る車が普及したならば、地域のバスやタクシーは必要なくなってしまう恐れがあります。人口が減少すると予測されている将来、大型ショッピングモールや病院、学校などが囲い込みをするために、そのような車を所有して客を集めるようになるかもしれません。(もちろん地域の方々が生活しやすい社会であるのが一番ですから、そのような時代が悪いという意味ではありません)
自動車の自動運転は、バスにとって利点なのか、脅威なのか。その答えがわかるまでは、まだまだたくさんの時間がかかりそうです。
…自動運転一つでここまで長い記事になってしまいました。(^^ゞ
これらの文章はモーターショーの会場内で伺ったお話や、ネットで得られた情報などから自分なりの味付けを(ルールが決まっていないのをいいことに)足して書いて見ました。特にドイツの自動車部品メーカー「Bosch」の日本サイトはたくさん参考にさせて頂いました。興味ある方はのぞいてみてください。