2013年7月31日の高速ツアーバス乗合移行期限から、1年が経過しました。「WILLER EXPRESS」や「VIPライナー」、「さくら高速バス」・・・他にもたくさんの高速ツアーバスが高速乗合バスへと移行しています。
皆様は新しいタイプの高速乗合バスに慣れましたか?
私個人の感想を少し書いてみたいと思います。
高速ツアーバスが乗合に移行して、私が一番驚いたのが一部の高速バスブランドで採用している「完全予約制」(※事業者によって呼び名は異なる)という制度でした。バスに乗車するには事前の予約が必須であり、当日のフリー乗車(予約なし)は出来ないという案内をしている事業者があります。
当然、このような疑問が浮かびます。
乗合バス(路線バス)に移行したのだから、空席があれば「フリー乗車(予約なし)」が出来ないと、おかしくないだろうか?
↑完全予約制を採用している事業者 同社のHPでは予約がないと乗車が出来ない旨が案内されています
・・・でも、調べてみると事前予約が必要な乗合バスというのは2013年7月31日以前にも存在していました。具体的な例を出すと、南千歳・新千歳空港〜帯広・十勝川温泉間を運行する「とかちミルキーライナー」(おびうん観光と北都交通の共同運行)です。十勝川温泉から乗車する場合は、1時間前までに予約をしないとバスが配車されずに帯広が始発になるシステムになっています。更に、生活路線でも予約があった場合のみ運行される乗合バス(コミュニティバスにみられる)というものが存在します。
これらの前例から、事前予約しないとバスに乗れない前提には、事前予約をしないと停留所にバスが来ない可能性がある事がわかりました。そして、この制度が過去にも存在していた事から、「完全予約制」は高速ツアーバスが乗合移行するために作られた制度ではなく、採用している事業者が少なかったが故に一般に知られていない制度だったと言えるかもしれません。
とはいえ、これまで乗合バス(路線バス)は予約しなくても必ず停留所に立ち寄り、座席があればフリー乗車出来ると認識してきた私達にとって、「完全予約制」は違和感のある不思議な制度で、すんなりと全てを受け入れられる方は決して多くないと思います。(私も全てを受け入れる事が出来た訳ではないです)
ところで、不思議な制度といえば、個人的には1980年代に確立された高速バスの「クローズド・ドアシステム」も謎の制度です。例えば、東名江田のBSで東京駅行きのバスを待っていて、超特急が来たら乗れるのに、昼特急が来たら降車専用となる扱いは不思議に思えませんか?どちらも同じ乗合バスなのに、どうして乗れるバスと乗れないバスの2つの制度が存在するのでしょうか。
でも「クローズド・ドアシステム」に異を唱える人を聞いた事がありません。その理由は「クローズド・ドアシステム」が当たり前のように定着しているからではないでしょうか。東名高速バスや名神高速バスなど、「クローズド・ドアシステム」がなかった頃から運行している高速バスは、今も基本は中間停留所で乗車も降車も可能です。しかし「クローズド・ドアシステム」の普及により、もはや高速バスの世界では東名高速バスや名神高速バスの制度の方が希少な取り扱いに思えてくるようになりました。
↑中央道双葉東の停留所 路線によって降車専用と乗車停留所の2種類がある
話を「完全予約制」に戻します。今は違和感の多い「完全予約制」ですが、「クローズド・ドアシステム」と同様に定着するかどうかが今後の鍵のような気がします。「完全予約制」は事業者側の立場からすると、効率的な運行が出来たり、座席配置を事業者側が決めて座席の隣り合わせが同性になるようにする事も出来るメリットがあります。しかし、事前予約という制約からフリー乗車を希望する乗客を逃してしまうデメリットもあります。事業者にとって、乗客を逃してしまうリスクを背負いながらも「完全予約制」を採用する価値はあるのでしょうか。
その答えは、今後、市場が判断する事になると思います。多くの利用者が「完全予約制」のメリットを支持したり、受け入れたりすれば、必然的に「完全予約制」は生き残る事になるはずです。
遠鉄バスは「e−LineR横浜線」の東名御殿場や山下公園前の停留所を、前日18時予約までの「完全予約制」にしましたし、イーグルバスでは一度は「事前予約・事前決済制」を採用しながらも、フリー乗車可能(※但し運賃は割高になる場合もある)に変更にするなど、各事業者で新しい動きも出ています。
さて、5年後、10年後・・・「完全予約制」は定着しているのか?衰退しているのか? どうなっているでしょうか。
皆様は新しいタイプの高速乗合バスに慣れましたか?
私個人の感想を少し書いてみたいと思います。
高速ツアーバスが乗合に移行して、私が一番驚いたのが一部の高速バスブランドで採用している「完全予約制」(※事業者によって呼び名は異なる)という制度でした。バスに乗車するには事前の予約が必須であり、当日のフリー乗車(予約なし)は出来ないという案内をしている事業者があります。
当然、このような疑問が浮かびます。
乗合バス(路線バス)に移行したのだから、空席があれば「フリー乗車(予約なし)」が出来ないと、おかしくないだろうか?
↑完全予約制を採用している事業者 同社のHPでは予約がないと乗車が出来ない旨が案内されています
・・・でも、調べてみると事前予約が必要な乗合バスというのは2013年7月31日以前にも存在していました。具体的な例を出すと、南千歳・新千歳空港〜帯広・十勝川温泉間を運行する「とかちミルキーライナー」(おびうん観光と北都交通の共同運行)です。十勝川温泉から乗車する場合は、1時間前までに予約をしないとバスが配車されずに帯広が始発になるシステムになっています。更に、生活路線でも予約があった場合のみ運行される乗合バス(コミュニティバスにみられる)というものが存在します。
これらの前例から、事前予約しないとバスに乗れない前提には、事前予約をしないと停留所にバスが来ない可能性がある事がわかりました。そして、この制度が過去にも存在していた事から、「完全予約制」は高速ツアーバスが乗合移行するために作られた制度ではなく、採用している事業者が少なかったが故に一般に知られていない制度だったと言えるかもしれません。
とはいえ、これまで乗合バス(路線バス)は予約しなくても必ず停留所に立ち寄り、座席があればフリー乗車出来ると認識してきた私達にとって、「完全予約制」は違和感のある不思議な制度で、すんなりと全てを受け入れられる方は決して多くないと思います。(私も全てを受け入れる事が出来た訳ではないです)
ところで、不思議な制度といえば、個人的には1980年代に確立された高速バスの「クローズド・ドアシステム」も謎の制度です。例えば、東名江田のBSで東京駅行きのバスを待っていて、超特急が来たら乗れるのに、昼特急が来たら降車専用となる扱いは不思議に思えませんか?どちらも同じ乗合バスなのに、どうして乗れるバスと乗れないバスの2つの制度が存在するのでしょうか。
でも「クローズド・ドアシステム」に異を唱える人を聞いた事がありません。その理由は「クローズド・ドアシステム」が当たり前のように定着しているからではないでしょうか。東名高速バスや名神高速バスなど、「クローズド・ドアシステム」がなかった頃から運行している高速バスは、今も基本は中間停留所で乗車も降車も可能です。しかし「クローズド・ドアシステム」の普及により、もはや高速バスの世界では東名高速バスや名神高速バスの制度の方が希少な取り扱いに思えてくるようになりました。
↑中央道双葉東の停留所 路線によって降車専用と乗車停留所の2種類がある
話を「完全予約制」に戻します。今は違和感の多い「完全予約制」ですが、「クローズド・ドアシステム」と同様に定着するかどうかが今後の鍵のような気がします。「完全予約制」は事業者側の立場からすると、効率的な運行が出来たり、座席配置を事業者側が決めて座席の隣り合わせが同性になるようにする事も出来るメリットがあります。しかし、事前予約という制約からフリー乗車を希望する乗客を逃してしまうデメリットもあります。事業者にとって、乗客を逃してしまうリスクを背負いながらも「完全予約制」を採用する価値はあるのでしょうか。
その答えは、今後、市場が判断する事になると思います。多くの利用者が「完全予約制」のメリットを支持したり、受け入れたりすれば、必然的に「完全予約制」は生き残る事になるはずです。
遠鉄バスは「e−LineR横浜線」の東名御殿場や山下公園前の停留所を、前日18時予約までの「完全予約制」にしましたし、イーグルバスでは一度は「事前予約・事前決済制」を採用しながらも、フリー乗車可能(※但し運賃は割高になる場合もある)に変更にするなど、各事業者で新しい動きも出ています。
さて、5年後、10年後・・・「完全予約制」は定着しているのか?衰退しているのか? どうなっているでしょうか。