Quantcast
Channel: バスターミナルなブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2317

福島交通 福島・川俣~南相馬~鹿島線

$
0
0
福島交通 福島・川俣~南相馬~鹿島線
鹿島駅前 13時42分発

JR常磐線の鹿島駅から数百メートルの場所にある福島交通の鹿島駅前停留所にやってきました。

2015年2月現在、JR常磐線は東日本大震災の影響により、運転を見合わせている区間があります。そんな中、原ノ町駅~相馬駅間だけは離れ小島ながらも区間運転を行っており、鹿島駅はその区間内に存在します。

これまで、鹿島地区から上野方面へ向かうには、区間運転を行っているJR常磐線か、一般路線バスで原ノ町(原町駅前)へ出て、そこから福島駅行きの急行バスに乗り換える必要がありました。(※2015年1月31日からは原ノ町駅~竜田駅間のJR常磐線代行バスという選択肢も加わりました)

しかし、2014年4月から福島交通の急行バスが鹿島地区まで延伸され、鹿島地区の利用者は急行バスのみで福島駅まで出られるようになったのです。今回はこの急行バスに鹿島地区から福島駅まで乗車します。



急行バスの始発は鹿島保険センターですが、そこまでの足がなかったので、鹿島駅前から乗車する事にしました。停留所には私の他に1人がバスを待っています。

バスが到着しました。まずは運転手さんに原町駅前までの200円を支払います。急行バスは鹿島地区まで延伸しましたが、この延伸区間の運賃は別計算となっています。



乗客は私を含めて3人です。まずは原町駅前へと向かいます。



14時00分、原町駅前に到着。8人の乗車がありました。その後、南相馬市役所でも4人の乗車があり、鹿島地区、南相馬地区合わせて15人の乗客が集まりました。

この南相馬(原ノ町)~福島駅間の急行バスは、福島交通が4往復、東北アクセスが4往復の計8往復を運行しています。東日本大震災以前は、この区間を直接結ぶバスは存在しませんでした(昔はあったそうです)。それが今では毎日8往復です。福島第一原子力発電所の事故は、人の移動の流れを大きく変えました。そして、結果的に福島交通と東北アクセスのダブルトラックという状態を生み出しました。



福島交通の車両は4列シートのトイレ付きです。混雑する土日祝日はトイレ無し車両での運行ですが、途中の川俣営業所でトイレ休憩があります。



また、無線LAN(Wi-Fi)を搭載していて、ドコモや、ワイヤ・アンド・ワイヤレスのWi-Fiを利用する事が出来ます。



南相馬市役所を発車してしばらくすると、「特急 南相馬」のサボを掲出した東北アクセスのバスとすれ違いました。2014年12月7日から運行を開始した南相馬~仙台間の特急便です。常磐自動車道の延伸によって新設され、普通便よりも所要時間が約40分短い、1時間35分で同区間を結んでいます。運賃とは別に特急料金200円が必要というバスには珍しい形態なのが特徴的です。



その特急便が出てきた常磐自動車道の南相馬インター。2015年3月には浪江~常磐富岡間が開通し、常磐自動車道は全線開通となる予定です。最後に残った区間は原発事故による「帰還困難区域」となりますが、高速バスの新設は行われるのでしょうか。もしも、いわきや東京方面へのバスが運行を開始したならば、再び人の流れが変わる事になるのかもしれませんが、「帰還困難区域」を通過するという現実に、どれだけの需要が動くのかを予測するのは難しいかもしれません。



八木沢峠を超えて、南相馬市から飯舘村へと入りました。



この辺りは「避難指示解除準備区域」です。一般路線バスは運休となり、時刻表を外された福島交通のバスポールだけが寂しく立っていました。急行バスは避難指示の出ている区間に停留所はありません。



避難指示の区域が変わり、「居住制限区域」へと入りました。市街地に入ってもシャッターの降りている店舗ばかりです。でも、全ての店舗が閉店状態なのかと思いきや、実はそうでもなく、営業しているガソリンスタンドを発見しました。(画像はありません)

原発事故による避難指示の区域は、過去の「警戒区域」や「計画的避難区域」から、現在の「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」の3つに再編成されています。これによって、例えば居住制限区域では、復旧・復興に不可欠な事業及び居住者を対象としない金融機関、廃棄物処理、ガソリンスタンド、製造業などが例外的に事業を行えるようになりました。この飯舘村だけでも信用金庫や運送業、板金工場など20を超える事業者が事業を再開しています。



私が南相馬~福島間のバスに乗車したのは今回が2回目です。初めて乗車したのは2013年の9月。東北アクセスの便で福島駅から南相馬までを乗車しました。今は雪景色の沿道ですが、当時は至る所で除染作業が行われていたのを思い出します。

私の付け焼刃な知識ですが、福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質で濃度が高いものは、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137の3種。このうちヨウ素131は半減期が約8日と短く、まもなく事故から4年が経過しようとしている現在では、半減期が約2年のセシウム134、半減期が約30年のセシウム137が放射線汚染地域の主な線源となっています。

逆に考えると、セシウム137の半減期が約30年ならば、まだまだ放射線量が大きく下がる余地があるはず。今は区域の中に積算線量が年間で20mSv(現在の避難指示の一つの基準)を超えている場所がある状態ですが、この数値以下である事が確実であると確認された場合には「居住制限区域」から「避難指示解除準備区域」へと移行する事になっており、そうなれば復旧・復興に向けた道筋も今より見えてくるのかもしれません。



そういえば、雪が積もると、その遮蔽効果で空間線量率が下がる傾向があるのだとか。

・・・いっそ、春になり暖かくなっても、雪が解けずに残っていればいいのに・・・

決して叶わない夢ですが、そんな事を考えてしまいました。



飯舘村から川俣町に入り、避難指示の区域から出ました。2013年の9月に通過した時は改良工事中だった峠は、今は広く走りやすい道路へと変わっていました。



15時00分、降車専用停留所である川俣営業所に到着。バス車内にトイレは設置されていますが、停車時間を使って営業所のトイレに行く事も出来ます。



川俣営業所を発車すると終点の福島駅東口までは約40分の道程。福島の街が見えてきました。



15時42分、終点の福島駅東口に到着。運転手さんに原町駅前~福島駅東口間の運賃を支払い、バスを降りました。鹿島地区からは約2時間、南相馬(原町駅前)からは1時間42分の乗車でした。

東日本大震災以降、鹿島地区や南相馬から公共交通を使って東京方面に向かうには、福島駅を経由するのが一般的になりました。私が乗車したのは、利用が比較的少ないであろう平日の昼便でしたが、それでも15人の乗客を集められる程の需要です。ただ、帰還困難区域を通過する代行バスが運行を開始したり、高速道路の開通によって、今後、もしかしたら人の流れに変化が起こるかもしれませんが、せっかく同じ県内の浜通りと中通りを結ぶ急行バスが出来たのですから、末長く定着して欲しいと思いました。

…最後に余談ですが、東京から南相馬に向かうのに、朝一番に到着するには、どのような経路をとるのがいいと思いますか?

朝イチの新幹線で福島駅に出て・・・ハズレです。正解は「ドリームふくしま・横浜号」に乗車して福島駅東口に6時10分に到着。25分後に出る6時35分発の急行バスに乗車すると南相馬(原町駅前)に8時19分に着く事が出来ます。南相馬には夜行バスの発着はありませんが、急行バスと組み合わせれば、こんな時間にも着く事が出来ます。

<撮影2015年2月>

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2317

Trending Articles