Quantcast
Channel: バスターミナルなブログ
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2317

東急トランセ パイレーツ号

$
0
0
東急トランセ パイレーツ号
渋谷マークシティ 20時20分発

夜の渋谷マークシティ。これから乗車するのは、2016年4月15日から夜行高速バスに参入した、東急トランセの「パイレーツ号」です。



のりばにバスが据え付けられ、改札が始まりました。集まった乗客を見ると、年齢層は高め、男女比は半々ぐらいで、ほとんどの方がトランクに大きな荷物を預けています。慣れた感じが見受けられるので、品川・浜松町時代からのお得意様でしょうか。

ここで「パイレーツ号」について簡単に説明すると、開業は瀬戸大橋の開通した1988年7月。京浜急行電鉄と瀬戸内運輸の共同運行で品川~今治間を結びました。経路の変更や、京浜急行グループ内での運行事業者移管などがありましたが、大きな転機が訪れたのは2015年9月の京浜急行バス撤退です。共同運行事業者を失った瀬戸内運輸は、単独での運行を余儀なくされます。特に年末年始の繁忙期は6台の専用車が往復し、かつ貸切車の増車も行われました。京浜急行バスの抜けた穴は大きなものだったと思われます。そのような中、東急トランセが2016年4月からの「パイレーツ号」参入を発表。東京側のターミナルを渋谷に変更するなど、リニューアルした「パイレーツ号」の歴史が再び始まりました。



改札を済ませ、車内へと進みました。

独立3列シートで、中央にトイレとサービスコーナーが設けられています。(途中休憩時に撮影)



私の座席は3A。荷物を置くと、早々にサービスコーナーに向かい、緑茶を作って座席に戻りました。



20時20分、渋谷マークシティを定刻通りに発車。

通勤の路線バスを望みつつ、まずは暖かいお茶で一服。 家路に付く通勤客の姿を見ていると、窓ガラスを隔てて、日常と非日常の境目にいるような気がしました。



首都高速3号線を1区間だけ走行し、二子玉川に到着。停留所は二子玉川駅のロータリーではなく、楽天クリムゾンハウスに位置します。

高速バスのネット販売を草分けし、業界を牽引してきた「楽天トラベル」。その経営を行っているのは、二子玉川に本社を移した楽天です。日本で高速バス利用者が増えた理由を考えると、やはり、楽天トラベルの功績は欠かせません。そして、その成長の過程には高速ツアーバスの問題もありました。高速バスが発展していくためには、引き続き、楽天の力は必要であり、安全、安心で、魅力ある商品が販売される事が、今後も大事なのではないかと思います。

それにしても、楽天の名前が入る停留所が設けられて、そこから高速バスが発着する時代が訪れるなんて、当時の楽天トラベルですら、想像もしなかったのではないでしょうか。



20時50分、二子玉川ライズ・楽天クリムゾンハウスを発車。

スピーカーから音楽が流れ、前方のスクリーンで、経路や到着時刻、車内設備などの案内が始まりました。



この案内放送は約7分間の大作。だんだんと、旅の気分が盛り上がってきます。

ここで車内設備を書くと、独立3列のリクライニングシートに、フットレスト、レッグレスト、テーブル、座席ヒーター、読書灯、トイレ、サービスコーナーを装備。各座席に毛布、使い捨てスリッパが付きます。欲を言えば、コンセントが欲しいところ。将来に期待でしょうか。



東名高速道路に入りました。おやすみ前の休憩(駿河湾沼津SA)までは、カーテンが開いたまま。それでも、目を閉じている方もおられます。時計を見ると、時刻は21時過ぎ。寝るのには早いのてすが、やる事がなくて、そのうち暇を持て余すようになってきました。何をしようか・・・

ふと、カバンの中にチョコレート菓子を入れておいたのを思い出しました。

「(チョコレートにはコーヒーだな。)」



車内中央のサービスコーナーでは、緑茶、コーヒー、お湯、冷水、おしぼりの提供が受けられます。温かいコーヒーを作り、こぼれないようフタをして座席に戻りました。



夜のひととき♪

最近は、東京~仙台間とか、東京~名古屋間のように、乗車時間が6~7時間クラスの夜行バスに乗車する機会が多く、今回のような12時間級の夜行バスに乗車するのは久しぶりです。6~7時間クラスだと、ついつい寝る事に比重を置いてしまいますが、今夜は夜行バスの楽しみ方を再発見したような気がしました。



22時10分、駿河湾沼津SAに到着。おやすみ前の20分休憩です。

トイレと買い物を済ませ、バスに戻ると、窓のカーテンが閉められていました。



人数の確認が済み、駿河湾沼津SAを発車。

座席横のカーテンを引くと、隣席との境が出来て、プライベート感が高まりました。まもなく消灯。就寝時間です。

おやすみなさい・・・zzz


・・・東急バスと東急トランセの違いはあるものの、東急にとっては18年ぶりに夜行高速バスが復活しました。私がバス趣味を始めた時には、既に夜行から撤退していたので、かつて運行していた「ミルキーウェイ」に憧れて、神姫バスに流れた専用車を撮影しに三ノ宮まで行った事もあります。だから、再び夜行をやると聞いた時は、心が舞い上がるような嬉しさを感じました。

撤退は1998年。もともと、夜行バスとしては後発組で、隙間を狙ったような路線展開ではあったものの、もしかしたら、バスの規制緩和を先読みしていたのかもしれません。そして、新高速バス制度で秩序が落ち着いた2014年には、御殿場・河口湖方面で昼行の高速バスを運行開始。撤退時には空港リムジンの参入、近年は観光立国の推進という要因もあるにせよ、東急は制度の潮目を読む事業者ではないかと思います。

zzz




おはようございます。

起床の音楽が流れ、香川県の豊浜SAで朝の休憩。時計は5時50分です。



車内に戻り、ウオーマーから温められた「おしぼり」を取り出して顔を拭きました。しっかりと布製なのが嬉しいところ。シャッキリと爽快で、旅の疲れが癒されるようです。

それにしても、まさか2016年にもなって、飲料やおしぼりサービスのある夜行バスが登場するとは思いませんでした。京浜急行バスから設備を引き継いだというのもありますが、止める選択肢だったあったはず。利用している人は少ないけれど、潤いを提供してくれる「オアシス」のようなサービスコーナーが継続しているのは嬉しい限りです。

さて、朝の休憩が済み、豊浜SAを発車しました。すると、乗客達は、案内された訳でもないのにカーテンを開け始めます。以前、「ノクターン号」に乗車した時も同じような光景を見た事がありました。

「勝手知ったる我が路線」

地方都市・老舗路線の特徴でしょうか。



愛媛県に入りました。
6時05分、三島・川之江ICに到着。

ここから新居浜、西条、壬生川など、瀬戸内運輸のエリアにある都市を経由しながら、今治まで約2時間かけて乗客を降ろしていきます。



雨上がりの景色を望みながら、バスは順調に走行。

失敗したのは、進行方向右側のC席をリクエストしなかった事。「パイレーツ号」のルートには、いくつか瀬戸内海が見られるポイントがあるのですが、A席だと四国に入ると山側なので、海が見たかった私としては、少し残念。もしも、今治行きの「パイレーツ号」を予約する時、座席の要望を聞いてもらえるチャンスがあれば、C席を選択する事をオススメします。



7時25分、壬生川駅前に到着。

ここで降車した男性は、家族の出迎えが来ていました。東京に単身赴任なのかな・・・。笑顔を交わす、微笑ましい光景に、思わずほのぼの。



そして、8時00分、終点の今治桟橋に到着。

「パイレーツ号」の旅が終わりました。

今回は、2か月前に運行開始したばかりの東急トランセ便に乗車しましたが、まるで、何十年も前から運行しているかのような、そんな感覚を覚えました。それは、京浜急行バス時代からのサービスを受け継ぎ、かつ、勝手をよく知る乗客達が、自然とつくる空気感から、そのように感じたのかもしれません。

逆に、慣れ親しんだ品川・浜松町が廃止された瀬戸内側の利用者の方が、今回のリニューアルで感じる変化が大きいのではないでしょうか。立場を変え、渋谷マークシティ行きの「パイレーツ号」に乗車したら、また違う印象の乗車記になりそうです。

<撮影2016年6月>

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2317

Trending Articles