検査標章7月。東急バスの新車、日野ブルーリボン、1号車です。
東急バスに「1号車」が登場しました。
2019年度導入車が1900番台だったので、2020年度導入車がどうなるか注目でしたが、数字が小さくなり「1」から始まりました。
車号が「1」のバスは、そうそう存在しません。全国的に見ても貴重です。
1号車は、淡島営業所に所属する東急トランセ委託車。渋谷駅発着路線で活躍しています。
A1号車 世田谷200か・205
さて、東急バスには過去にも1号車が存在しました。
前回の1号車は、1991年度導入車で日産ディーゼルUA+富士重工の組み合わせです。
撮影したのは2003年6月。弦巻営業所で東急トランセ委託車となった除籍間近の姿です。
1991年度導入車が、どうして「1」から始まる車号になったのか。
東急バスにとって1991年は節目となる年でした。それは東京急行電鉄の自動車部から分社化し、東急バスとして新たなスタートをきった新会社設立元年です。設立は5月でしたが、営業の開始は10月だったために1号車は東京急行電鉄名義で導入されました。その後、分社化と共に東急バスへ移籍、最後は東急トランセ委託車となり、2003年まで東急バスの弦巻エリアや目黒エリアで活躍しました。
初めて1号車を見た時は衝撃でした。当時はそれほどバスに興味はありませんでしたが、やはり「1」という車号の存在感は抜群で高い注目を集めました。
その後、東急バスを除籍になった1号車は海を渡ります。嫁入り先は函館バスでした。
函館バスでの車号は「4405」。東急バス時代はトップナンバーという目を引く車号でしたが、函館では平凡なありふれた車号が付けられました。
函館では、狙って4405号車に乗車した事もありました。
暖房が増強されたので、冬場に乗車するとヒーターの音が車内に響いて、東急バス時代とは違う雰囲気を味わえました。
そして、2007年9月・・・
当時は今よりも大らかな時代で、営業所でお願いすると撮影の許可が下りる事がありました(今はわかりません)。許可を頂いてバスを撮影していると、ピットにナンバーの外された車両を発見します。車号は4405。本当に偶然なのですが、この日、4405号車の除籍・廃車作業が行われていました。
工場の方のご厚意で撮影させて頂く事が出来たのですが、ハンドルどころか、フロントガラスすらもありません。使える部品は他の車両のために取り外したそうです。もう自走は出来ません。
車内には東急バス時代の車号「T1」の文字を剥がした跡が残っていました。
本来であれば、移籍と同時にキレイサッパリ剥がしてしまうのでしょうが、函館バスではこの上に運賃表示器が取り付けられたので、結果として痕跡が残りました。
久しぶりの再会が除籍作業という残念な出来事でしたが、最後の最後に「T1」の文字を見る事が出来たのは、何かのご縁だったのかもしれません。
東急バスに2020年式「1」号車の新車が登場したので、前回の「1」号車の思い出を綴ってみました。