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IKEBUS(イケバス) Bルート

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豊島区 WILLEREXPRESS IKEBUS(イケバス)Bルート
池袋駅西口・中央 10時00分発



池袋駅西口の只今の気温は31℃。天候は晴れ(ピーカン!)。最高気温は33℃まで上がる予報です。

9月に入り、8月に比べれば幾分暑さも和らいだものの、それはあくまで8月との比較。直射日光は今現在も強いエネルギーで地上に降り注いでいます。日陰ならば、そこそこ快適。でも太陽の下には長時間居たくない。そんな朝の池袋駅西口です。

これから乗車するのは、豊島区の池袋周遊バス「IKEBUS」(イケバス)です。いわゆる「水戸岡デザイン」の小さく真っ赤な電気自動車で、池袋駅東口発着のAルートと西口発着のBルートがあります。2020年8月からBルートが大きく改変され、西口の駅前からホテルメトロポリタン、東側の豊島区役所、サンシャインシティ、Hareza池袋を経由して西口に戻ってくる大きな環状線にリニューアルされました。今回は新しくなったBルートを1周したいと思います。



乗車を前に、停留所に表記された「車両の特性上、車内に空調装置はございません。」の文字に戦々恐々とします。そう、IKEBUSはバッテリー駆動ゆえに非冷房。念のため事前に熱中症対策の麦茶を購入して持参してきましたが、どれだけ暑いのか見当もつきません。



そうこうしているうちに、太陽に照らされた真っ赤なIKEBUSが駅前ののりばにやって来ました。



運賃は大人1回乗車200円。一日券500円もあります。

一日券をお願いすると、運転手さんが笑顔で日付を押印してくれました。

いけぶくろレッドを基調にデザインされた車内へ進むと、意外にもそれほど暑くありません。覚悟を決めていたので拍子抜けです。側窓も後窓も全開なので風が入るというのはありますが「日陰ならば、そこそこ快適」の感覚です。むしろ、じめじめと湿度が高い日の方が暑さを感じるかもしれません。どちらにせよ、非冷房のバスに乗務する運転手さんには頭が下がります。スターフをチラ見しましたが、1周毎のように小まめに休憩しているようでした。



「うちわをどうぞ」

運転手さんから有難いお言葉。今は沿線企業とのコラボ企画で、うちわを配布しているそうです。



10時00分、池袋駅西口・中央を定刻通りに発車しました。

モーターの音が響き、路面電車に乗車している気分になります。ちなみに乗客は私一人だけ。この様子だと1周貸切でしょうか。



「チリン・・・チリン・・・」

車内を吹き抜ける風と、時折聞こえる風鈴の音色が風流です。(※撮影はホテルメトロポリタンを発車後)



10時07分、ホテルメトロポリタンに到着。

ここでは4名のサラリーマン&OLが乗車してきました。

IKEBUSのデザインに黄色い歓声があがります。このご時世、小声での会話でしたが「1台だけ黄色がいるんだよ」なんて聞こえてきました。今回の乗車では見かけませんでしたが、真っ赤なIKEBUSの中で7号車だけは黄色デザインなのです。話のネタ的に周囲の喰いつきもよく、黄色のIKEBUSの話題は、運転手さんはもう何十回と聞いているんだろうな・・・なんて思ってしまいました(^^)



鉄道のガードを潜り、池袋の東側へと移ります。

Bルートの改変で、新たに通行するようになった南池袋東通り商店街です。



豊島区役所、東池袋駅での乗降はなく、サンシャインシティが見えて来ました。

降車チャイムの音が聞こえます。ホテルメトロポリタンで乗車した方々はここで降車するようです。考えてみれば、メトロポリタンからサンシャインまでは、歩けない距離ではないけれど、歩きたくない距離でもあります。特に今日のような炎天下ではなおさらです。

サンシャインシティ北で4名が降車。入れ替わるように一組の老夫婦が乗車してきました。



鉄道のガード下や首都高の高架下のような陽の届かない場所では、白熱色のふんわりとした灯りが車内を照らします。

暗くなってからのIKEBUSは、昼間とは違う雰囲気が楽しめそうですね。



後方には、回送中のIKEBUSが見えました。

幹線道路では最高速度19km/hの制約が流れに乗れるのか気になるところですが、追い付かれたり、前を走る一般車に加速で離される場面はあるものの、それでも信号待ちや右左折で停止や徐行している前車に追いつく場面も見られました。車線が複数ある区間もありますし、そもそも幹線道路を長距離走らないので、それなりになんとかなっているようです。

IKEBUSのような「グリーンスローモビリティ」は、環境・経済・社会の統合的向上を目標に国が全国での普及を推進しています。「時速20km未満で公道を走る事が可能な4人乗り以上の電動パブリックモビリティ」と定義されており、ざっくり書くと「環境にやさしい乗り物」で、地域住民の足やコミュニケーションの場を創出する「地域内の交通」になったり、経済の活性化やブランド力を上げる「観光資源」にもなったりと、地域の課題を解決する有効なツールとして期待がされています。全国で実証実験が行われていますが、豊島区はいち早く「IKEBUS」で本格導入。静岡県の沼津地区では伊豆箱根バスが「沼津駅~沼津港間」を民間初で本格運行させるなど、普及にむけたステージは進みつつあります。



10時33分、Hareza池袋に到着。

旧豊島区役所の跡地に建設された複合ビルです。ここではお母さんと小さな女の子のペアが乗車してきました。



映画やアニメの聖地で有名な池袋大橋を渡り、池袋の西側へと戻ります。

単純に池袋駅に行くには、次の池袋駅西口・北で降車するのが早くて便利ですが、誰も降りようとしません。せっかく乗車したのだから少しでも長く乗っていたいのでしょうか。相変わらず注目度は高く、沿道ではIKEBUSにスマートフォンのレンズを向けている方も見かけました。



ぐるっと周回して、池袋駅西口・中央に戻ってきました。

時刻表上では1周48分のショートトリップです。移動手段としても使えますし、車窓観光としても使えます。

私が降車すると、付近にいた一組のカップルが「乗ってみようか?」と相談していました。

「乗ってみようか?」

IKEBUSは、人を注目させる力を持っているのがわかります。

小さいボディに主張する車内外のデザイン。池袋のド真ん中に200円の非日常(もしくは新しい日常)がある訳で、これはデザイン、運行、全てを含めたプロデュースの賜物だと思います。もしも、マイクロバスにキャラクターのイラストが描かれているだけだったら、こうはならなかったでしょう。20分間隔と高頻度の運行をしているので「乗ってみようか?」の背中を押してくれるような施策が出来れば、IKEBUSの利用者を更に増やせるかもしれません。



最後になりますが、2020年8月1日にルートのリニューアルをしたばかりのIKEBUSは、9月26日から造幣局の跡地に造られた「としまみどりの防災公園」(IKE・SUNPARK)にAルート、Bルート共々、乗り入れる予定です。



園内には小さな子ども向けの遊び場「としまキッズパーク」がオープンします。ミニSLや展望ブリッジ、三輪車広場など、いけぶくろレッドに塗られた遊具はIKEBUSと同じく水戸岡さんがデザインしました。



↑ としまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)

豊島区は高密都市と言われ、園庭のない公立・私立の認可保育所や幼稚園が多く存在するそうです。子ども達の園外活動を支援するため、貸切が出来るIKEBUSを活用した事業も進行しています。具体的には、IKEBUSを貸切して「キッズパーク」や「サンシャイン水族館」で遊び、お弁当を食べて戻って来る...そんな小さな遠足が計画されています。楽しい思い出がつくれたらいいですね。



IKEBUSは地域交通や観光資源だけではなく、豊島区の子ども達の保育の一端も担う事になります。

活躍の場を拡げるIKEBUSの今後の発展が楽しみです。

<撮影2020年9月>

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