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京王バス セレガR 60501号車の一日

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引退が決まった、京王バス最後の日野セレガR、60501号車の一日を追いかけました。

出庫から、高速バスで1往復、そして入庫。乗車記も含めてお届けします。



おはようございます。早朝の京王バス永福町営業所です。(公道から撮影)

ここへ来たのは、60501号車が出庫するかどうかを確認するためです。車庫を見渡すとお目当ての60501号車を発見。車両は電源を落とされている状態ですが、駐車している場所から判断して、営業に出て来そうな予感もします。少し様子を見てみましょう。



しばらくして、灯火類が点灯しました!メインSWがオンになったようです。そしてエンジン始動。



出庫点検が始まりました。ダッシュボードには、バスタ入構のプレートも置かれています。記載されている情報から、9時15分発の山中湖・平野行きとわかりました。

バスタ新宿の発車時刻までは、まだ時間に余裕があります。慌てずに新宿へ先回り。その道中では、予約サイト「ハイウェイバス・ドットコム」のアプリを活用して座席を予約・購入しました。初めてアプリを使いましたが、動作はサクサクで使い勝手が良いです。



新宿到着後、バスタ新宿前で待ち構えていると「KEIO」表示の60501号車が現れました。

この車が2020年1月頃に永福町営業所にやって来てからは、専ら渋谷駅発着の「アクアライン」系統専用車と化していたので、新宿駅に姿を見せるのは久しぶりだと思われます。



京王バス 富士五湖線1103便
バスタ新宿 9時15分発

出発階、B4のりばに60501号車が据え付けられました。

セレガRに表示される「山中湖・平野」の行先に懐かしさを覚えました。京王バスのセレガRは、正座席38席仕様、42席仕様、どちらの仕様も在籍していたので、3列の夜行路線を除くと京王ハイウェイバスの大抵の路線には入りました。今回乗車する「富士五湖線」は比較的中距離の路線で、座席数の多い車両が充当される傾向にあります。往年のセレガRにとって「山中湖・平野」の行先は、割とポピュラーな表示方です。思い出の景色が私の頭の中に甦ります。



新宿の高層ビル群に見送られ、山中湖までの旅が始まりました。



初台から首都高速道路4号線に流入し、そのまま中央自動車道へ。進路を西にとります。



京王バスでは最古参となる、2005年式の高速バス車両。

表示されるピクトグラムのコンソールにも、歴史を感じさせます。



バスは順調に進みます。ハイランド、河口湖駅、富士山駅を経由し、山中湖が見えてきました。

私が降車するのは、山中湖・旭日丘です。終点の平野まで乗車してもよかったのですが、途中降車してバスの撮影もしたかったのです。



旭日丘を発車した、60501号車。

前日までに降った雪で、山中湖周辺は銀世界になっていました。



富士山を背景に1枚。

今年の富士山は例年と比べて雪が少なくて心配していましたが、今回の降雪により、一気に雪化粧となりました。



山中湖湖畔の京王リップル前にて。(公道から撮影)

ここは「富士五湖線」が山中湖地区で休憩をする場所です。

往路の運行を終えた60501号車が、西東京バスへ移籍したエアロエースと並んで休んでいました。最初で最後かもしれない、貴重なワンシーンです。



復路の便には、始発の平野から乗車します。

京王リップル前から平野までの距離は、3kmちょっと。当初は歩こうかと考えていましたが、上手い具合に2時間に1本の路線バスがあったので、富士急バスで移動しました。

さて、60501号車をどこで撮影しようか。



バスターミナルの入線シーンを順光で撮るか、それとも街並みの走行を逆光で撮るかで悩みましたが、順光を捨てて、街並みで撮影する事にしました。

カメラを構えていると、休憩を終えた60501号車が始発の平野に姿を現しました。街並みを走るセレガR。思い描いていた撮影が出来ました。



新しくなった山中湖・平野のバスターミナルに到着しました。 

ターミナルの再整備が完成してから、京王のセレガRが発着するのは初めてでしょうか???



京王バス 富士五湖線1112便
山中湖・平野 13時25分発

復路も引き続き、セレガR、60501号車のお世話になります。



行き先表示は「新 宿」。

「山中湖・平野」と同様に、懐かしい気持ちになるかと思っていましたが、不思議と何も感じません。「山中湖・平野」以上に見る機会の多かった表示方だけに、もう感覚が麻痺しているのかもしれません。もはや「新 宿」は表示ではなく、京王セレガRのデザインの一部分のようです。



車内の様子です。

正座席42席仕様ですが、補助席のないワイドシートなので快適です。

エンジン音を楽しむために、復路は後方の座席を選択しました。



発車後は、ボボボボッ♪と響くⅤ8エンジンの音を楽しみます。



積雪の山中湖。

凍えそうな気温のように見えますが、この日は外にいても寒さを感じませんでした。

太陽のおかげか、セレガRに乗車出来た事でテンションが高かったのか(^^;)



ふと、ガラスに印刷された「JBUS」の文字に目の焦点が合いました。

2005年式だと、セレガRでも日野車体工業ではなく、ジェイ・バスの製造になるのですね。



富士急ハイランドを発車すると、中央自動車道へ。

小まめに乗車停留所が続きます。バスストップに接近すると、ブオン♪と軽くエンジンが吹かして回転数を調節、エンジンブレーキへと移行します。それが2回続き、滑らかにバスストップに停車しました。発進も道路状況を見極めながら、早いタイミングでシフトアップ。私はバスを運転出来ないので、偉そうな事は書けませんが、ショックを感じさせない丁寧な運転に、ドライバーさんの運転に込める想いのようなものを感じました。



八王子ICを過ぎると、中央自動車道ではわずかしかない最高速度100km/h区間です。

周囲の流れに乗るように速度を上げ、エンジン音も唸りをあげました。



首都高速4号線に入ると、車窓からは背の高い建物が目立つようになりました。それは、新宿に近付いた事を意味します。

前回、60501号車に乗車したのは京王バス中央時代で、武蔵小金井駅発、羽田空港行きの空港リムジンバスでした。既に60501号車がセレガR最後の1台となっていたので、この車窓を見て「もう1度、京王のセレガRで中央高速バスに乗りたい」と願ったのを憶えています。

・・・でも、その夢が今日叶ったのに、、、夢が叶ったのに、切ない気持ちになるのは何故でしょう。まもなく60501号車とはお別れです。



時の流れは逆らえません。無情にも、バスタ新宿の到着案内放送が流れました。



そして、終点のバスタ新宿に到着。

60501号車引退が発表された事もあってか、多くのバスファンが集まってのお出迎えになりました。

花道を飾ってもらって、本当に幸せな車両だと思います。



営業を終えた60501号車は、バスファンが見送る中、永福町営業所へ向けて回送されました。



私も電車で追いかけました。

永福町営業所に到着すると、60501号車は給油を行っているところでした。(公道から撮影)

たっぷりと給油する姿は「今日で終わりじゃないよ」「まだ走るよ」と伝えてくれているようでした。



給油を終えると、次は洗車機へ。ピカピカになって、この日の運用を終えました。

60501号車の一日を、出庫から入庫まで追いかけてみました。他の2005年式セレガRが2018年までに引退するなか、この60501号車だけが2021年まで活躍を続けました。これ程までに、多くのバスファンに愛された京王ハイウェイバスは、これまで存在したでしょうか。

願わくば、次の活躍の場があることを。そして、そこでも利用者に愛されて欲しいと切に祈ります。

-追記-




翌日の高速運用、翌々日の貸切運用を終えた60501号車は、除籍と思われる作業が始まりました。(公道から撮影)



なごり雪のなか、永福町営業所で最後の時を過ごす60501号車。東京で見る雪は、これが最後でしょうか。

<撮影2021年1月>

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