「陸こう」という設備をご存じですか。
歴史ある港湾地域に多くみられる防潮設備で、高潮の被害から人命や財産を守る重要な役割をします。
ざっくりと書くと、道路に設けられた「防潮扉」です。その「陸こう」が、また一つ姿を消そうとしています。
「陸こう」の出入口。
ここは東京都中央区勝どき5丁目。清澄通り、豊海水産埠頭の入口です。
大きな防潮扉。
津波や台風による高潮の被害が発生しそうな時は、この扉を動かして道路を閉鎖。街に水が入らないようにするのです。
防潮扉を閉めてしまうと、人や車は当然通行できません。
そこで「陸こう」を乗り越える為の梯子が設置されています。(普段はフタが閉められています)
2車線道路の清澄通りでは、北側と南側のそれぞれ2か所から防潮扉を閉める構造となっています。
ただし、陸上防潮堤の工事が始まったため、今では道路は対面通行となりました。
道路は嵩上げされ、工事が完成すると、嵩上げされた道路自体が防潮堤の役割を担う事となり「陸こう」の必要は無くなります。
↑陸上防潮堤建設工事のお知らせ
「陸こう」は、有事の際に道路を閉鎖して防潮提にするため、もしも水害が発生した場合、原則として「陸こう」の内側は守られますが、外側は守られません。一般的に外側は港湾地域であるケースが多いのですが、市街地化が進んでいる場所もあります。晴海の月島警察署前にあった「陸こう」も嵩上げや防潮提の整備により、選手村建設のタイミングで姿を消しました。この豊海でも、54階建ての高層マンションが2つ建設されるツインタワー計画が始まっています。
道路の嵩上げにより、完成後は常時防潮堤が機能する状態になります。街の保安度が高まるのは喜ばしいことです。同時に、埠頭らしさが残る景色が変わっていく事に寂しさもおぼえます。
追記:話題は変わりますが、ウィラーエクスプレスの新路線「大阪~福岡・佐賀線」が発表になりました。運行事業者は祐徳自動車だそうです。