今回、初めて「献血バス」による献血に行ってまいりました。
駅前の献血会場でお馴染みの献血バス。バスファンの聖地、バスタ新宿前にもたびたび現れます。正式には「移動採血車」と呼ぶそうです。
緊急事態宣言下でも血液の安定供給が求められているとの報道を見て、久しぶりに献血に行こうと決意。これまで私は常設の献血ルームにしか行った事がなかったのですが、バスファンなのでバス車内で献血しようと、スケジュールを調べたく日本赤十字社のHPを開きました。そこには「献血バスを探す」のページがあり、都道府県、さらには市区町村を選択して献血バスの会場を検索する事が出来ます。
検索結果から私が選んだのは、新宿区の飯田橋駅前です。
今回の献血会場は、受付や血圧測定を行う「テント」、検査や採血を行う「移動採血車」、採血後の休憩を行う「献血検診車」の3ゾーンで構成していました。
テント内で受付を済ませ、体温・血圧測定等をクリアすると、腕にはバーコード付きのリストバンドが巻かれました。
例えとして適切ではないかもしれませんが、まるでバスに乗車するための「乗車券」を発券してもらったかのようです。
「移動採血車」の足まわりを見ると、ジャッキが付いていたり、タイヤの下に板を敷いていたりと、車体を安定させる工夫がありました。確かに車内で行っている行為を考えると、ここまで気を使っている理由がわかるような気がします。
なるべく水分を採って欲しいとの事で、テント内で頂いたスポーツドリンクのキャップを開け、口につけました。
順番が来るまで、車外の椅子に座って待ちます。
それにしても献血バスを目の前にすると、バスファンの血が騒いでしまいます。(献上するのが、こんなマニアックな血液ですみません(^^;))
献血バスを観察すると、様々な特徴がある事に気が付きます。
まず、車外にはACコンセントがいくつも設置されています。
発電機を搭載したバスは、献血会場の電源装置の役割をしているようです。
それから燃料は「軽油」、「ガソリン」、「灯油」のタンクがあります。「軽油」はおそらく走行用(エアコンも?)、「ガソリン」は発電機用、「灯油」はヒーター用でしょうか?外部電源にも対応しているようです。気になったのが「車外ヒーター」という装置があるところ。吹出口は車外向けのようです。テント内部の室温を保持するための装置でしょうか?冬に献血に参加すれば用途がわかるのかもしれません。
天幕も付いています。
出口のステップ。
ちなみにバスは日野自動車製の中型車でした。シャーシはメルファでしょうか?ボディは東京特殊車体製で「Tokyo Special Coach」と記載された銘板が特徴です。
さて、順番が来たのでステップを上がり、車内へと進みます。(車内の画像はありません)
前扉付近で問診、そしてヘモグロビン濃度測定をクリア。「400ccを右腕から」と決まりました。ここでも水分摂取を勧められ、先ほど頂いたスポーツドリンクを飲み干します。さらには紙パックのジュースも頂きました。種類は「お茶」、「リンゴ」、「カフェオレ」等がありました。
水分補給を終えると、採血ベッドへと進みます。車両中央部~後方部にかけて看護師さんのカウンターがあり、その周囲を取り囲むようにカウンターと平行に4つのベッドが並んでいました。ベッドは頭部を上にして採血するのですが、右腕でも左腕でもカウンター側から採血できるように、ベッドの左側と右側、どちらも頭部になるように変形出来ます。大型のヘッドレストカバーは頭部の方向を変える度に付け替えていました。このようなベッドは、空間に制約のある「移動採血車」ならではの設備と言えそうです。
採血がスタート。自覚症状はないのですが、どうやら私は冷え性のようで、血行を良くするために手のひらに発熱カイロを持つように指示されました。前回、献血に参加した際も持たされたので、おそらく慢性的な冷え性なのでしょう。若干不安な気持ちになりましたが「冷え性は女性だけではないんですよ」なんて看護師さんのやさしい声かけにリラックス出来ました。
ベッドはそこそこ幅もあり快適です。完全に水平にすれば、どんなプレミアムシートにも勝る事、間違いありません。こんなシートで旅が出来ればと思いましたが、「定員用座席ではないので、運行中は使用しないで下さい」という旨の注意書きを見つけました。そもそもシートベルトもないし、致し方ないところです。
天井にはいくつものスピーカーが設置され、音楽(ラジオ?)が流されていました。
15分程度が経過したあたりで400ccの採血が終了。体調に異常がない事を確認後、ゆっくりとステップを降りて、隣の休憩場所へと移動します。
休憩場所は「献血検診車」と名付けられたマイクロバス、いすゞ「ジャーニー」です。
座席はロングシートでした。
車内には、ジュース等の飲料と、ビスケットが用意されていました。(採血後も水分補給が大事です)
無事に400ccを採血出来た達成感と共に、ありがたく頂戴。全体を通じてスタッフさんの対応も親切でした♪
最後になりますが、日本では1日に約3000人の方々が輸血を必要としているそうです。
長期保存の出来ない血液を安定的に確保するためには、毎日絶えず献血活動が継続されていく必要があります。少子高齢化時代を迎え、10代、20代、30代といった若い世代の献血人口が減少しています。対して輸血を必要とする高齢者は増える傾向にあります。血液が足りない事態にならないようにするためには、多くの方々の協力が必要です。私は久しぶりの献血でしたが、今後は回数を増やそうと思いました。
都内では東京特殊車体の採血車を見かける機会が多いですが、バスファンのサイトを検索すると、全国には、トラックベースの採血車、セレガの採血車、エアロエースの検診車などもあるそうです。バスファンなりの献血の楽しみ方になると同時に社会貢献にも繋がります。
今まで献血をした事がないけれど興味を持っている方、もしよかったら日本赤十字社のHPをチェックしてみて下さい。
<撮影2020年5月>