本吉駅を発車した代替バスは、国道45号線に戻りました。津谷川を渡り、陸前小泉駅へ。鉄道の気仙沼線は高架が続く区間ですが、ここも橋が落橋していました。鉄道の本吉〜柳津間は開業が1977年と比較的新しく、高架や長いトンネルなどで線形が良い、言わばお金のかかっている区間です。踏切は一つもありません。鉄道としては最高の線路ですが、代替バスの専用道として整備(最終的な目標は鉄道での復旧です)となると、最高の線路は吉と出るのか…逆なのか。代替バスの行き違いの問題(現在は、その時の状況により最適な場所で行き違いしています)がクリアできれば、最高のバス専用道になると思います。もっとも、この区間が専用道の対象区間なのかどうかはわかりませんが。
14時02分、歌津駅に到着。駅舎は高台にありました。下からしか見ていませんが、一見すると大きな被害はないように思いました。
歌津駅付近は国道45号線の橋が落橋し、道路は迂回状態が続いています。道幅も狭く、車の流れが悪い箇所です。こういった場所こそ、バス専用道の工事を優先的にしてはどうかと思いましたが、その考えもむなしく、そのすぐ先で鉄道の橋も落橋していました…。
14時17分、ベイサイドアリーナ駅に到着しました。この駅は鉄道の気仙沼線には無かった駅です。ベイサイドアリーナは南三陸町の総合体育館なのですが、震災後に南三陸町役場と診療所が移転してきました。南三陸町の行政の拠点となっている場所です。あくまで鉄道の代替バスですが、臨機応変な対応で鉄道の駅がない場所にも代替バスの駅を設けたのは素晴らしい事だと思いました。ちなみにベイサイドアリーナ駅は営業キロが設定されていないために、隣の志津川駅の営業キロを使用します。
志津川の街に入りました・・・・・。
この後、今も多くの人が手を合わせる防災庁舎の脇を走り、志津川駅に向かいます。
志津川駅に到着。5人の降車と1人の乗車がありました。志津川駅も南気仙沼駅と同じく街の機能はないように見えましたが、鉄道と変わらず駅前に停車します。降車された方も乗車された方も大きなリュックを持っていました。ボランティアの方でしょうか。
コンビニエンスストアの前にある陸前戸倉駅に到着。ここでは1人の降車と1人の乗車がありました。ここからは内陸に入ります。
続いて陸前横山駅で1人降車。沿岸と内陸で車窓の景色が全く違います。内陸に入ると沿岸での被害が嘘のように、日常的な光景が続いています。
14時53分、終点の柳津駅に到着しました。柳津駅から前谷地駅までは鉄道の気仙沼線が運行していますので、乗り換える事が出来ます。代替バスは日中でも1時間に1本運行していますが、鉄道は1日に7往復です。3時間以上列車が来ない時間帯もあります。代替バスと鉄道の接続は基本的に確証されていませんが、将来的には鉄道と代替バスの乗り継ぎも課題になるかと思います。
最後に、今回の気仙沼線代替バスBRTは暫定開業です。震災からの仮復旧として初めてのケースになります。これからバス専用道の延長、大船渡線、山田線の不通区間へのBRT提案など、たたき台的な側面もあります。いつか訪れる鉄道復旧への第1歩として、よりよい交通機関になるといいなと思いました。
<撮影2012年9月>