↑深夜の新宿に到着した松本線。 新宿西口 0時12分着(2015年撮影)
既に、ニュース、鉄道事業者のリリース等で報じられていますが、首都圏のJR線・民鉄線は2021年春のダイヤ改正で終電時刻の繰り上げが行われます。
この鉄道の終電繰り上げが、高速バスに影響を及ぼすのではないかと気になりました。高速バスの時刻表を開いてみると、地方都市から東京都心への最終便で、到着時刻が23時を超える路線は多く存在します。そのいくつかを時刻表から適当に拾ってみました。(現状ではコロナ渦の影響で運休になっている便が多いです)
万代シテイBC18時00分発→池袋駅東口23時17分着
長野駅19時30分発→バスタ新宿23時17分着
鹿島神宮21時20分発→東京駅日本橋口23時20分着
新静岡駅20時00分発→バスタ新宿23時22分着
銚子駅21時37分発→東京駅0時05分着
松本BT21時00分発→バスタ新宿0時18分着
高速バスは、道路状況により遅れが生じやすい乗り物です。週末や連休時の道路渋滞や工事渋滞、突発的な事故渋滞など、時刻通りに目的地へ到着しないケースも多々あります。これに鉄道の終電繰り上げが加わり、バスが遅れて東京都心に到着しても、自宅に帰る手段が既に無くなっている事態が考えられます。また、終電の繰り上げは最大30分程度とされています。たとえ高速バスが時刻通りに到着したとしても、そこから終電で帰宅出来る地域の範囲も狭くなります。こうなると、利用者の多くは今よりも早い時間帯の便を選択し、深夜帯に東京都心へ到着する便が成り立たなくなるのではないでしょうか。
鉄道の終電繰り上げは「保守メンテナンスの時間を確保するため」と説明しています。コロナ渦の影響が収まったとしても、再びの終電延長は期待出来ません。このため、深夜帯に東京都心に到着する便のダイヤを将来にわたって維持するためには、乗車率が低くなる便に対して価格訴求(例えばダイナミックプライシング)を行ったり、タクシーの割引クーポンを販売するなど、何か施策が必要になるかもしれません。
深夜帯に東京都心へ到着する便の利用者数は、全体の割合としては少ないのですが、地方都市での滞在時間を延ばし、路線の魅力に繋がるので維持して欲しいと思います。