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・東急バス 都立01系統(都立~成城)の廃止

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2021年3月31日を最後に、東急バス、都立01系統、都立大学駅北口~成城学園前駅間が廃止となりました。

都立01系統は、東急東横線の都立大学駅~東急田園都市線の桜新町駅~小田急小田原線の成城学園前駅を結ぶ10.7kmの路線です。10kmを超える長大路線ですが、以前はJR山手線の目黒駅を都心側の起点としており(黒05系統)、これでも路線長が短縮された系統でした。



都立01系統の路線図を見てみます。

右下の都立大学駅北口から、桜新町駅を経由し、左上の成城学園前駅までを結びます。

都立大学駅北口~桜新町駅間は、ほぼ同一区間を走行する黒07系統がありますし、岡本三丁目~成城学園前駅間は玉31系統が路線延伸するので、完全な廃止区間は、中央の桜新町駅~岡本三丁目間となります。(※厳密には路線免許維持的に土曜日のみ区間走行する便が誕生しました)



廃止理由の一つは「利用者数の減少」です。

しかし、都立01系統全体としては、それなりの利用者数はありました。令和元年度の1日平均の輸送人員は3499人。これは決して少ない数字ではありません。世田谷区を走るバスで比較すると、都営バス、宿91系統、新代田駅~新宿駅西口間が3622人(平成30年度)なので、1日平均の輸送人員だけで見れば、比較的近い水準です。



運行便数も、日中で時間当たり2本はありました。だいたい30分待てば次が来る感覚です。



それが一夜にして↑になるのですから、かなりの衝撃でした。



しかし、都立01系統の廃止理由には続きがありました。「車両生産中止により、一部区間でのすれ違いに支障」とあります。

大型ナロー車(いわゆる中型ロング)の生産が行われていない現状は、都立01系統にとって世代交代出来る車両がいない事を意味します。近年、耳にする機会の多い、リエッセ生産中止問題と同じ課題です。



また、廃止理由には「長大路線のため定時性の確保が困難」というものもありました。

特に用賀中学校~岡本一丁目間の環状8号線越えは、都立01系統にとって遅延発生の難所です。



環8越えだけが遅延発生の全てではありませんが、わずか数百メートルの環状8号線走行区間で、多くの時間を費やします。一般的に路線バスの遅延回復は起終点で行われる事が多いので、都立01系統のような10km超えの長大路線は、定時性の確保が確かに困難でした。



加えて、廃止区間の桜新町駅~岡本三丁目間の各停留所で乗降する利用者は、他の区間と比較して多くなかったと思います。(肌感覚ですが)



結局のところ、都立01系統全体の利用者はそれなりに存在しても、系統中央の廃止区間は乗降が少なく、その区間に遅延が発生しやすい難所が存在し、長大路線のために定時性の確保が困難。更に世代交代出来る車両が存在しないのが、都立01系統の抱えてきた課題といえます。

先述した輸送人員の比較も、系統距離や運行便数を含めた年間走行距離で見ると、宿91系統は年間約29万5000km走行して、1日平均3622人ですが、都立01系統は約37万km走行して、3499人です。比較すると都立01系統の効率の悪さがよくわかります。見た目ではわからない実態でした。



最後に、運行最終日の沿線の様子を紹介します。

桜新町二丁目付近を走行する成城学園前駅行き。

桜新町のサクラは八重の桜です。ソメイヨシノと比較して開花が遅いのですが、都立01系統の最終日までに間に合いました。



成城学園前駅発、都立大学駅北口行きの最終便。

名残を惜しむバスファンの乗車も多くみられました。



成城学園前駅発の弦巻営業所行き入庫便。

これが本当のラストです。桜新町の大きな桜の木の下で見送りました。



懐かしの画像で締めくくります。

都立01系統 都立大学駅北口~成城学園前駅間 お疲れ様でした。

※2021年4月1日からの都立01系統は、黒07系統の補完として、都立大学駅北口~弦巻営業所間の運行となりました。
※文中で記載した輸送人員等のデータは世田谷区の統計書からです。

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