神奈川県相模原市中央区にある上田名です。神奈川中央交通と相模神奈交バスが乗り入れます。
上田名の停留所は、神奈川県の県道48号線と54号線の2つが接続する交差点にあります。
上田名のある田名地区は交通の拠点が未整備となっている場所です。相模原市の「バス交通基本計画」に基づいて効率的で利便性の高い路線網を構築するために、県道同士が交差するこの場所にバス乗り継ぎ機能を備えたバスターミナルが建設される事になりました。(休工中の札はお正月休み期間中に訪問したため)
現在はこのように道路脇の停留所となっています。県道54号線上にある上溝、相模原、淵野辺方面ののりば。
停留所の標識です。
2014年1月現在の時刻表。日中でもJR相模線の上溝を経由してJR横浜線の淵野辺南口に3本/h、相模原駅南口に2本/h運行されています。
対してこちらは県道48号線側の停留所。こちらも平日日中にJR横浜線・相模線・京王相模原線の橋本駅南口に3本/h運行されるなど頻度の高い運行を行っています。画像は橋本駅南口から到着した望地キャンプ場入口行き。
バスターミナルの完成イメージ図。バスは乗車3、降車2、バスベイ1の計6つのバース。タクシーは乗車1、待機4の計5バース。一般車乗降場は2か所あるそうです。駐輪場も併設されます。
工事の進む上田名のバスターミナル。
1バースだけバスターミナル内ではなく、県道54号線に沿ってバスベイ方式で設けられています。上溝方向の速達性を確保しているのだとか。(比較的利用者が多いためだと思われます)
供用開始は2014年4月を予定。
乗り継ぎ機能を備えたバスターミナルという名目ですのでトイレ付きの待合所が設置されます。
…相模原市の「バス交通基本計画」におけるバス路線網計画では、バス路線の設定を「ターミナル間輸送を担う幹線」と「ターミナルへのアクセス等、幹線を補完する支線」とに位置づけています。上田名では先ほど紹介した上溝駅方向や橋本駅方向などの鉄道駅側が幹線の扱いになり、対して鉄道駅とは反対方向側の半原、水郷田名、望地キャンプ場入口方向は支線の扱いとなりました。現状の上田名は単なる途中の停留所に過ぎませんが、今後は乗り継ぎターミナルという性格からして、ケースによっては幹線方向と支線方向間の移動には上田名のバスターミナルでの乗り継ぎが必要となるのかもしれません。
まだターミナル完成後の具体的なバス路線網は発表されていませんが、「バス交通基本計画」に対するパブリックコメントを読む限りでは、特に支線側から「鉄道駅など、これまで直接行く事の出来た場所に乗り継ぎが必要となるのは不便」という声が上がっているようです。
ちなみに、田名地区は鉄道の駅から距離があるので移動には自動車利用が高く、加えて田名地区を含む相模原地域ではバスの遅延といった運行時間の正確さに不満を持つ方が多いというデータがあるそうです。そのために「バス交通基本計画」では定時制や速達性を確保するため、原則としてターミナルを経由地等にする長大路線は配置せず、利用者にわかりやすいよう系統を整理する事が記載されています。(※長大路線の短所として、バスは遅延が発生すると終点まで影響を受けたまま運行するケースが多いので、路線が長いとダイヤの回復に時間がかかります)
また、バス相互の乗り継ぎの円滑化による利便性向上のために、バスロケの機能向上、乗り継ぎ割引の導入、乗り継ぎバスに関する情報提供(車内で乗り継ぎ便の発車時刻を表示するなど)といった提案もされていました。
余談ですが、ターミナルの裏にはショッピングセンターがあります。バス乗り継ぎ時間に買い物という選択肢も生まれそうですね。
最後に田名地区にはこのような横断幕が掲げられていました。
今回のバスターミナル建設とは直接関係ありませんが、現状の田名地区の公共交通への不満と、将来への期待が伝わってくるような気がしました。
<撮影2014年1月>