京王電鉄バス(委託) アルピコ交通(受託) 新宿~松本線
松本バスターミナル21時00分発
松本での用事を済ませた私は夕食をとり、東京に帰るために21時00分発の新宿行き、昼行最終便に乗車しました。運転手さんの改札を受けて座席に座り、あとは新宿までの旅を楽しむだけです。
・・・と、さらっと乗車記が始まりましたが、冷静に考えてみると、これって結構凄い事だったりします。
改めて時計を確認すると「21時00分」。ここは新宿から221Km離れた松本です。こんな時刻に200Km以上離れた都市から東京都心に向けて昼行扱いの高速バスが出発するなんて、実は松本以外には存在しません。最終の特急「あずさ」は1時間前の20時00分に出発済。「ワイドビューしなの号&新幹線あさま号」ルートも20時46分に出発済。松本から東京都心への本当の最終は、鉄道ではなく高速バスでした。
定刻通りに発車したバスは、夜の松本を後にします。発車して約10分で松本インター前に到着。ここから高速道路に入ります。
それにしても、このような時刻設定の便が成り立つには好条件があると思います。その理由を考えてみると、一般道を走行する距離が短く、表定速度が高い点が挙げられます。
突然ですが、ここで問題です。
1、「新宿松本線」 新宿高速バスターミナル~松本バスターミナル間
2、「新宿長野線」 新宿高速バスターミナル~長野駅間
上記2路線のうち、距離が長いのはどちらですか?
多くの方が「新宿長野線」の方が距離が長いと即答されるのではないでしょうか。そのとおり、「新宿長野線」で正解です。では、どれ位の差があるのでしょう。時刻表に掲載されている実車距離で見てみると「新宿松本線」が221Kmで、「新宿長野線」が229Kmです。ただ、「新宿長野線」は長野駅を経由してホテル国際21や善光寺大門が起終点なので、実際には229Kmよりも短くなります。この区間を3Kmと仮定して再度、距離を出してみます。
「新宿松本線」 221Km
「新宿長野線」 226Km
確かに「新宿長野線」の方が距離は長いものの、それほど大きな差は無い事がわかりました。しかし、所要時間と表定速度を見ると・・・
「新宿松本線」 所要時間3時間12分 表定69.0Km/h
「新宿長野線」 所要時間3時間40分 表定62.7Km/h
・・・このように所要時間で28分、表定速度では6.3km/hの差が付きました。(※どちらも新宿行き最終便。表定速度は小数点以下2位を切り捨てで計算)
高速道路のインターが近く、停留所の少ない「新宿松本線」の表定速度の高さこそが、松本バスターミナル21時00分発を可能にしているのかもしれません。
さて、双葉SAで10分間の休憩です。この便の担当は京王電鉄バスですが、アルピコ交通が貸切型受託をしています。乗降口付近には受委託の表示がされていました。
双葉SAを発車後は再び高速道路を走り続けます。
そして終点の新宿高速バスターミナルに到着しました。
時刻表上の到着時刻は0時12分。日付は変わっているとはいえ、まだまだ多くの鉄道路線で列車がある時刻です。
ただ、高速バスを利用する上でリスクになるのが渋滞による遅延。遅い便を利用する際は、バスが遅れて最終電車に間に合わないというケースを想定する必要があります。とはいえ、ここは大都会の新宿。24時間営業の飲食店も多いので、最終電車に間に合わなくとも対処する方法はいくらでもありそうです。到着地が新宿という点も、松本発21時00分発が成り立つ好条件の一つなのかもしれません。
遅延というリスクがあるので、私は翌日の予定に余裕がある時でないと遅い便を選択する勇気はありませんが、初電を待てる覚悟があれば、松本での滞在時間を長く、かつ鉄道よりも低廉な価格で東京に戻れる利点が手に入ります。
そんな最終バスの旅でした。
<撮影2015年9月>
※本文で記載した距離や表定速度は時刻表でわかる範囲や予測に基づいて算出しています。実際の数字とは異なる事をご了承下さい。